抄録
高齢者の皮膚は菲薄化,脆弱化,ドライスキンなど傷を生じやすく,治りづらい傾向にある.加齢により表皮突起と真皮乳頭の突出が平坦化し,スキンテアを来しやすい状態である.また真皮の膠原繊維が減少し弾力が失われる.このためバリア機能破綻が生じやすく感染しやすく,治癒も困難となる.さらに筋力低下,運動機能低下により転倒,打撲の頻度も増し四肢に血腫,皮膚壊死を広範に生じやすく,皮下脂肪織と筋膜の間に巨大な血腫を作ってしまうことがある.このような創傷に治癒期間短縮目的で手術及び陰圧治療を行い,早期治癒が得られたので報告する.