抄録
薬剤師による疑義照会は,医薬品の適正使用のために不可欠な業務である.疑義照会の傾向を分析し対策を行うことで不適切な投薬を未然に防ぐことが可能と考えられる.当院における疑義照会の内容の調査から,処方時の不適切な投与経路の選択への対策として,電子カルテのオーダリングシステムの設定を変更して投与経路の選択を制限し,注射薬の不適切な投与経路の選択を防ぎ疑義照会の件数を減らすことが可能と考えられた.そこで,本研究ではオーダリングシステムの設定変更前後の疑義照会件数の比較を行い,その効果を検討した.対策前では全処方せん76,022枚中,投与経路の誤選択は17件,対策後では全処方せん73,101枚中,投与経路の誤選択は5件であり,有意に減少していた.今回オーダリングシステムの設定を変更した薬剤は36剤であったが,今後も疑義照会内容の分析を継続して行い,設定する対象薬剤の拡大やこの設定変更でも防げなかった不適切な処方について注意喚起を行う必要があると考えられた.