松江市立病院医学雑誌
Online ISSN : 2434-8368
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出血性胃十二指腸潰瘍に対する内視鏡的止血法の検討 止血クリップ法対純エタノール局注法
河野 通盛吉村 禎二星野 潮堀 浩太郎山田 稔錦織 優浜本 哲郎
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2000 年 4 巻 1 号 p. 1-7

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抄録
消化性潰瘍よりの急性出血症例138例に対する2つの内視鏡的止血治療プロトコールを比較し,止血クリップ法を評価した.I群では64例の患者を純エタノール局注法を内視鏡的止血術の第一選択とした.II群では止血クリップ法を内視鏡止血術の第一選択として定め74例で試みた.しかし止血クリップ法のみで止血困難と判断した場合には純エタノール局注法を用いることを許可し,その際止血クリップ法のみで治療困難であった理由を記載した.両群間の背景因子に有意差を認めなかった.II群中23例(32.4%)では止血クリップ法で治療困難と判定され純エタノール局注法が使用された.初回及び最終的な内視鏡的止血治療成功率はI群及びII群で各々85.4%,91.9%と84.5%,94.4%であり両群間に有意差を認めなかった.純エタノール治療による潰瘍拡大はI群では14例に認めたがII群では4例と有意(p<0.01)に減少した.止血クリップ法による重大な合併症はなかった
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