抄録
最近3年間に下痢症状を呈し,培養にてClostridium difficile(CD)が検出された″CD下痢症″66例について,病内感染との関連を含め,臨床的に検討した.患者は70歳以上の高齢者が多く,脳血管障害後遺症や骨・関節疾患などADLの悪い患者や腸内容の停滞し易い消化器癌術後が大半を占めた.発症迄の日数は8~21日.66例中62例がセフェム系を中心に抗菌薬が1剤或いは異時的に2~3剤投与された.CD下痢症の治療には40例にVCMが経口的に投与された.CD分離株の薬剤感受性パターンを7型に分類し検出時期,検出病棟との関連をみると,同一病棟で同一感受性パターンを示す傾向が認められ,CD下痢症は院内感染による可能性も否定できなかった