抄録
女性腹圧性尿失禁Type IIIと診断された2症例(57,64歳)に対し,tension-free vaginal tape(TVT)手術を施行したので,腹圧性尿失禁の分類,治療法を踏まえて報告した.2例とも,著明な合併症を認めず,失禁も消失した.手術法は,スリング手術,膀胱頸部吊り上げ術,コラーゲン注入術等が行われてきたが,効果の持続性,侵襲の大きさ,術後の疼痛持続,術後尿閉等,一長一短があった.TVT手術は,いまだ長期成績は不明であるが,侵襲が少なく,3年迄の短期成績も良好である.更に局所麻酔,日帰り手術も可能であり,術後牽引痛も殆どないことから,今後腹圧性尿失禁手術の主流となっていくものと考えられた