抄録
39歳女.帝王切開術後4日目に歩行を開始し,意識を失っているのを発見された.救急隊到着時は,高度徐脈,呼吸停止状態であった.搬送中に心停止となり,心肺蘇生術(CPR)を開始し,搬入後も継続したが心拍の再開はなく,経皮的心肺補助装置(PCPS)を用いて循環を維持した.心拍再開後,肺動脈造影で広範囲な肺動脈の閉塞が認められた.症状が急激に進行してCPRを必要とした為,絶対的な外科手術適応と考えられた.又,帝王切開術後であること,蘇生の為にPCPS,IABPを使用していることから,血栓溶解療法では出血の危険性が高いと判断し,外科的に血栓除去術を施行した.術後,脳低温療法を施行した.救命はできたが,高次中枢神経機能障害の回復に困難を極めた.早期のCPRの開始,速やかなPCPS,脳低温療法の導入が行われたが,心停止をきたす以前から,広範な肺動脈閉塞により肺への有効な血流がなく,全身の著しい低酸素状態が続いていた為と考えられた