抄録
平成5年1月~平成15年3月に新規に経験した肝細胞癌165例のうち,閉塞性黄疸をきたした7例ついて検討した.全例に閉塞性黄疸精査の目的で内視鏡的逆行性胆道造影を施行した結果,肝門部肝管或いは左右の肝管の圧排,狭窄所見を6例に認めた.胆道出血は7例中4例にみられた.全例で積極的な減黄治療を行った.総胆管内の血餅が原因と考えられた2例ではバスケット及びバルーンで血餅を除去した.7例中5例で内視鏡下に胆管内にステントを留置し,その中で左右肝管に狭窄を認めた2例では左右の肝管に1本ずつ,計2本のステントを留置した.治療効果は,全例で総ビリルビン値の低下を認め,5例では総ビリルビン値の3mg/dl以下への低下を認めた.減黄術後の総ビリルビン値の平均は2.2±2.1mg/dlであった.閉塞性黄疸の治療後原発巣に対して追加治療ができたのは1例のみで,TAEを施行し,減黄術後346日生存した.追加治療を行わなかった6例の生存期間は11~175日であった.