抄録
ハイテク製品には,レアメタルを駆使して機能を実現しているものが少なくない。近年,需要が増加している液晶ディスプレイも例外ではなく,透明電極材料にレアメタルであるインジウムを使用している。液晶ディスプレイの増産に伴い,インジウムの需要も増加している。もともと生産量の少ないこともあって,液晶ディスプレイメーカーにとってインジウム資源を確保することは将来にわたって重要である。そこで,著者らは液晶ディスプレイパネルからインジウムを回収リサイクルする方法の開発に取り組み,イオン交換樹脂を用いた簡便で省エネルギーな方法を開発した。240kg/日の液晶ディスプレイパネルを処理可能な実証機を作製し,製造工程から排出される工程不良パネルを用いた実証実験により,インジウム回収率94%が得られた。