廃棄物資源循環学会誌
Online ISSN : 2187-4808
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20 巻, 2 号
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巻頭言
特集:廃棄物からのレアメタル回収
  • 原田 幸明
    2009 年20 巻2 号 p. 49-58
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    急速に広がっているレアメタルの用途について紹介し,その一方で強まる供給リスクを国民経済の持続可能性,人類経済の持続可能性および地球環境の持続可能性の面から述べる。また,そのような中で重要になってくる資源端重量の考え方を紹介するとともに,ひとつの解決策として既利用資源に注目する都市鉱山について触れる。
  • 貴田 晶子, 白波瀬 朋子, 川口 光夫
    2009 年20 巻2 号 p. 59-69
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    金属濃縮度の高い部品・素材がどこにあるのかという点に焦点をあてて,製品中に含まれる元素の存在量を詳細に把握する手法と,パソコンを例にしたケーススタディの結果を示した。使用済みパソコン中の元素濃度把握の枠組みとして,素材・部品別に解体し,蛍光X線分析と湿式前処理―多元素同時分析装置を用いて分析し,個別分析値を加算して全量とする方法を採用した。基板のような複合素材は凍結粉砕して金属分析値の精度を向上させた。デスクトップ型パソコン本体の詳細解体―積み上げ法によって得られた1台分に含まれる47元素の濃度を示した。たとえば,Agは794mg,Auは143mg,Pdは186mg,Cuは320g,Pbは20gなどである。デスクトップ型パソコンとノート型パソコンの基板中に含まれる元素を比較し,ノート型パソコン中のAu量は本体重量が少ないにも拘わらず,デスクトップ型パソコンと同程度であるが,Agは1/2,Pdは1/10,Pbは1/7と少なかった。製品中に含まれる金属含有量を正確に把握するためには,分析化学上の課題も残っていることを示した。
  • ――人工鉱床の展開――
    中村 崇
    2009 年20 巻2 号 p. 70-76
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    わが国のレアメタルの資源状況を簡単に紹介し,小型廃電気・電子機器 (SDA) のリサイクルについて解説した。
    資源価格は,金融危機以前大変な上昇を見せた。その原因はよくいわれるようにBRICS諸国の急激な成長と巨大資源メジャーの誕生にある。日本は,石灰石以外は地下資源がなく,国内資源としてのスクラップ,廃棄物からのリサイクルがそれらに対する対応手段となる。その推進には,われわれが提案した人工鉱床,“RtoS"の概念が重要である。この概念は,以前南條によって提案された都市鉱山を発展させたものである。その実行の前に市中に存在する金属量の大まかな推定を行った。その結果,EUと大きな違いはなく,約19.4kg/人と推測され,かなりの金属資源が廃棄物として処分されていると判断した。回収システムがなければ,レアメタルの回収はほとんど期待できない。その結果を受け,RtoSの概念を実行するために2006年に大館市においてSDAの収集試験を行った。実際に社会から回収が可能なことを示し,また適当な手法でレアメタルの存在する部分を分離できるとレアメタル回収が可能であることを示した。
  • 辻口 雅人, 土居 英樹
    2009 年20 巻2 号 p. 77-84
    発行日: 2009年
    公開日: 2013/12/18
    ジャーナル フリー
    ハイテク製品には,レアメタルを駆使して機能を実現しているものが少なくない。近年,需要が増加している液晶ディスプレイも例外ではなく,透明電極材料にレアメタルであるインジウムを使用している。液晶ディスプレイの増産に伴い,インジウムの需要も増加している。もともと生産量の少ないこともあって,液晶ディスプレイメーカーにとってインジウム資源を確保することは将来にわたって重要である。そこで,著者らは液晶ディスプレイパネルからインジウムを回収リサイクルする方法の開発に取り組み,イオン交換樹脂を用いた簡便で省エネルギーな方法を開発した。240kg/日の液晶ディスプレイパネルを処理可能な実証機を作製し,製造工程から排出される工程不良パネルを用いた実証実験により,インジウム回収率94%が得られた。
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