廃棄物資源循環学会誌
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特集:廃棄物からのレアメタル回収
小型家電のリサイクル
――人工鉱床の展開――
中村 崇
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2009 年 20 巻 2 号 p. 70-76

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抄録
わが国のレアメタルの資源状況を簡単に紹介し,小型廃電気・電子機器 (SDA) のリサイクルについて解説した。
資源価格は,金融危機以前大変な上昇を見せた。その原因はよくいわれるようにBRICS諸国の急激な成長と巨大資源メジャーの誕生にある。日本は,石灰石以外は地下資源がなく,国内資源としてのスクラップ,廃棄物からのリサイクルがそれらに対する対応手段となる。その推進には,われわれが提案した人工鉱床,“RtoS"の概念が重要である。この概念は,以前南條によって提案された都市鉱山を発展させたものである。その実行の前に市中に存在する金属量の大まかな推定を行った。その結果,EUと大きな違いはなく,約19.4kg/人と推測され,かなりの金属資源が廃棄物として処分されていると判断した。回収システムがなければ,レアメタルの回収はほとんど期待できない。その結果を受け,RtoSの概念を実行するために2006年に大館市においてSDAの収集試験を行った。実際に社会から回収が可能なことを示し,また適当な手法でレアメタルの存在する部分を分離できるとレアメタル回収が可能であることを示した。
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© 2009 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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