抄録
国際資源循環に伴う問題として,輸出された再生資源のリサイクルの過程で汚染の問題が生じたり,リサイクルされず不適正に処理されたりするといった問題があげられる。このような問題を防止するため,再生資源のさまざまな輸出入規制が行われている。輸出入規制を補完する形で,トレーサビリティを確保する取り組みが始まってきている。本稿では,国際資源循環に関するトレーサビリティ確保の取り組みの必要性を整理するとともに,経済産業省が実施したパイロット事業,台湾におけるインターネットを利用した国際マニフェストや専門家による輸出先の調査,税関やバーゼル条約担当官庁間の情報共有の取り組みについて紹介する。最後に,今後,日本政府や企業がトレーサビリティ確保に向け取り組むべき点について指摘する。