抄録
玩具 (おもちゃ) は,こどもの情緒的・認知発達において重要な役割を担っている。本稿では循環社会という視点において,玩具にどのような意味があるのかを論じる。
こどもが玩具の最初にかかわる時期においては,おとな (たとえば親や教師など) がものの大切さやもののリサイクルの必要性を伝えることが有効となる。愛着が親子関係から仲間関係へ移行しはじめる前に,ぬいぐるみ玩具が喪失体験を補うものとして知られている。これらのものは,おとなになってもストレス解消の安定剤として玩具の秘められた機能である。模倣遊びの時期になると,玩具として廃物の利用が行われるようになる。幼児・児童期に保育・教育活動で廃品・廃物を取り入れた遊びをすることで,そのこどもが後に日常生活で物を再利用する可能性を高めることの一助となりうる。そのため廃品・廃物の提供者は廃品・廃物を活用する知識を必要とする。
一方,障がい児を含めたあらゆるこどもに対する玩具としては,追加機能がある玩具を設定したりするなど,個々人に適するように容易に改造可能し,すべての人が利用できることが求められるであろう。