抄録
本稿では,放射性物質が混入した一般廃棄物や下水汚泥の焼却施設における排ガス中放射性物質の測定方法について考察した。測定方法は 2 つのアプローチがあり,一般廃棄物焼却施設の排ガス中金属やダイオキシン類測定に基づいた方法 (JIS K 0083, JIS K 0311),および発電用軽水型原子炉施設における放出放射性物質の測定に関する指針に基づいた方法 (JIS Z 4601, JIS K Z 4336) である。これら 2 つの試験方法と,排ガス中放射性物質のダスト粒径別挙動の調査方法 (JIS K 0302) の 3 つの比較並行試験を行った事例を紹介した。いずれの方法でも最終煙突における排ガス中放射性セシウム濃度は検出下限濃度以下であった。比較的低濃度の混入廃棄物の焼却において, 「放射能濃度等測定方法ガイドライン」 に示されている方法は合理性があるといえるが,除染廃棄物等の高濃度廃棄物の焼却においては,本方法以外にも長期的なモニタリングが必要であろう。