抄録
2011 (平成 23) 年 3 月の福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質により,東日本各地で下水汚泥や焼却灰から高濃度の放射性物質が検出される事例が多数報告される事態となった。廃棄物処理施設の作業従事者等の被ばくを最小限に抑えつつ,円滑に処理処分を進める必要があるが,そのためには廃棄物や処理施設の放射能濃度や空間線量率を測定し,そのレベルに応じた処理処分や被ばく対策の方法を選択する必要がある。そのための測定法として,2011 (平成 23) 年末に 「廃棄物等の放射能調査・測定法暫定マニュアル」 (以下,暫定マニュアル) が発行された。本稿では,暫定マニュアルについて,作成の経緯や概要, 「廃棄物関係ガイドライン」 との相違点,今後の改訂の方針等について述べる。