抄録
焼却施設では,焼却時の酸性ガスの除去や焼却飛灰中の重金属を固定するために薬剤処理が適用される。酸性ガス処理剤は飛灰処理にも影響を及ぼすため,全体の薬剤処理を考える上では,ガス処理性能と併せてそのときの飛灰性状も把握しながら進める必要がある。実機において飛灰アルカリ度低減型の新規酸性ガス処理剤と無機リン酸系重金属固定剤とを組み合わせ,薬剤処理の最適化を検討した結果,焼却飛灰のアルカリ度は従来の高反応消石灰処理に比べ 50 % 以上低減され,リン酸系重金属固定剤の使用量が大幅に削減された。また,従来の高反応消石灰およびキレート処理の組み合わせに比べ,焼却飛灰の重金属固定処理の安定性も高めることができた。