廃棄物資源循環学会誌
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特集:観光とごみ
屋久島のエコツーリズムとごみ
市川 聡
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2015 年 26 巻 3 号 p. 183-190

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抄録
屋久島については,世界遺産に登録されてから観光客が押し寄せてごみだらけになったとの報道がしばしばなされてきたが,その実態はむしろ逆で,山のごみはなくなりきれいな状態が保たれている。これは世界遺産登録で住民意識,観光客意識が高まったことに加え,エコツアーガイドが常時山にいることで,日常的に清掃がなされることによる。一方登山者の増加に伴う山小屋のし尿処理については,全額募金で賄おうとしたが,思うように募金が集まらず処理に行き詰っている。このため新たな入山協力金の導入を決めているが,実際には山小屋のトイレを使用しない大部分の登山者に,負担を押し付けるミスマッチが生じるおそれがあり,むしろ広く薄く,屋久島に来るすべての観光客に屋久島の世界遺産保全全般のための協力を求め,そこから山岳部のし尿処理も対応すべきと考える。
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© 2015 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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