廃棄物資源循環学会誌
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26 巻 , 3 号
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巻頭言
特集:観光とごみ
  • ――環境問題の観点から――
    敷田 麻実
    2015 年 26 巻 3 号 p. 171-182
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    2000 年代以降,国内の観光政策は観光産業の振興から地域振興も含めた総合政策に転換した。その中で,人口減少によって縮小する地域社会や経済の再生を観光によって補完する観光まちづくりも強調されている。国内観光消費額は 22 兆 5,000 億円であり (2012 年),訪日外国人観光客数は 1,341 万人となった (2014 年)。そのため観光関係者だけではなく,地域経済の振興や地域再生に関心のある関係者が観光に注目している。しかし,経済活動である消費行動を伴う観光は,「無害」な現象ではなく,観光客が増加すれば環境への影響も発生するため,観光振興による負の影響の顕在化も指摘されている。そこで,本稿では,観光の特徴や仕組みを明らかにした上で,「観光立国」の経過や最近の地域の観光動向を踏まえながら,観光と環境の関係や課題を整理し,持続可能な観光を目指すための観光の影響のマネジメントを考察した。
  • 市川 聡
    2015 年 26 巻 3 号 p. 183-190
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    屋久島については,世界遺産に登録されてから観光客が押し寄せてごみだらけになったとの報道がしばしばなされてきたが,その実態はむしろ逆で,山のごみはなくなりきれいな状態が保たれている。これは世界遺産登録で住民意識,観光客意識が高まったことに加え,エコツアーガイドが常時山にいることで,日常的に清掃がなされることによる。一方登山者の増加に伴う山小屋のし尿処理については,全額募金で賄おうとしたが,思うように募金が集まらず処理に行き詰っている。このため新たな入山協力金の導入を決めているが,実際には山小屋のトイレを使用しない大部分の登山者に,負担を押し付けるミスマッチが生じるおそれがあり,むしろ広く薄く,屋久島に来るすべての観光客に屋久島の世界遺産保全全般のための協力を求め,そこから山岳部のし尿処理も対応すべきと考える。
  • 副田 俊吾
    2015 年 26 巻 3 号 p. 191-200
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    観光旅行は私達の余暇の楽しみの一つであり,特に宿泊を伴うような観光は家族や友人にとって一大行事であり,人々の絆を深める大切な機会でもある。このため,観光地はさまざまな「おもてなし」の工夫を凝らして観光客の想い出づくりを援けるとともに,観光収入を得て,地域経済を支えている。一方,観光地を訪れる人々にごみとし尿は必ず附随するものであり,その処理は受け入れる観光地にとっての負担となっている。
     本稿では,国内外の観光地,あるいは観光地を抱える自治体等の観光ごみに対する考え方や取組事例を紹介し,観光インフラの一つとしてのごみ処理対策のあり方について概略を述べる。
  • 幸田 麻里子
    2015 年 26 巻 3 号 p. 201-206
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    環境保全のための取り組みは,全世界的に必要であるが,その具体的な対策は国・地域等によって異なる。そうした取り組みは,当該国・地域では当然のことであっても,そこを訪れる観光者にはわかりにくい場合がある。観光者に対して,環境保全のための取り組みであるという情報提供を行うことで,そこに生じやすい不満や誤解を解消することが可能である。また,情報提供においては心理的誘導や異なる言語の観光者にわかりやすいサイン表示が重要である。
     本報では,大韓民国での環境保全のための取り組みを事例とし,外国人観光者の理解において課題となる点について考察を行う。
  • ――世界遺産登録までの取り組みとその後――
    青木 直子
    2015 年 26 巻 3 号 p. 207-214
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    東京から車で 2 時間,五合目まで簡単にアクセスでき,登山初心者でも日本最高峰に立つことができる富士山は,年間,頂上へは 30 万人が登り,300 万人が五合目を訪れ,山麓の観光地へは 3,000 万人がやってくる。
     1990 年代初め,富士山を世界自然遺産にしようと大きな運動が起きた。全国的な関心が高まるなか,皮肉にも,ごみとトイレのひどい現状が周知される結果となった。とくに,1990 年代は山麓の不法投棄ごみが深刻な問題となっており,これらの環境問題を解決しようと結成されたのが富士山クラブである。2000~2002 年のトイレ改善の取り組みに加え,富士山のごみをボランティアとともに 16 年間拾い続けている。
     世界文化遺産になった富士山では,外国人観光客が年間を通じて増加している。「ごみは持ち帰り」等の日本のマナーやルールは,登山者でない観光客の外国人には理解しがたい。異なった文化や習慣を持つ人々が訪れる,世界有数の観光地である富士山での環境保全はどうあるべきかを考える。
  • ――「食べ残しを減らそう県民運動」の現状と課題――
    三木 陽平
    2015 年 26 巻 3 号 p. 215-221
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    長野県では,生ごみの発生抑制を目的に,「食べ残しを減らそう県民運動」として,飲食店等で食べ残しを減らす取り組み,また,家庭での生ごみ発生抑制の意識の向上に向けた取り組みを行っている。「食べ残しを減らそう」協力店の募集・登録や「宴会たべきりキャンペーン」の実施が主な取り組みであるが,こうした取り組みは,モニタリング調査により,食べ残しの削減に効果があることを確認している。しかし,直近のアンケート調査によると,これらの取り組みの県民認知度は低く,県民に十分浸透しているとはいえないのが現状である。今後は,こうした取り組みを,市町村等とも連携を深め,より県民参加型の取り組みとして発展させてゆく必要がある。
  • 山本 耕平
    2015 年 26 巻 3 号 p. 222-227
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    離島では観光客の増加によるごみの処理が大きな問題である。自治体の規模が小さく,単独ではごみ処理施設の整備やメンテナンスが難しい一方で,広域な処理体制もとりにくい。
     リサイクル関連法によって離島でもリサイクルが進んでいるが,選別や保管,島外への搬出等法律が想定していない問題がある。また,ごみを海上輸送しなければならず,業の許可の問題や輸送コストの問題等,離島特有の問題がある。離島では漂着ごみや海岸打ち上げごみも問題となっている。回収のための人手や処理費用が足りないために十分な対応ができていない。ごみの発生抑制のためには,島内でリユースする容器の使用等,島内循環の仕組みづくりや,散乱ごみ対策としてのローカルデポジットの導入,使い捨て容器包装の規制等,離島ならではの独自の施策の導入が求められる。
調査報告
  • 宗 清生
    2015 年 26 巻 3 号 p. 228-236
    発行日: 2015/05/31
    公開日: 2021/06/14
    ジャーナル フリー
    そう遠くない将来に発生が予想されている南海トラフ地震では,東日本大震災の 15 倍という大量の災害廃棄物が発生するといわれている。災害廃棄物の処理は,被災地復興の第一歩となることから,災害廃棄物が大量であっても迅速な処理が求められる。そこで,処理期間を東日本大震災と同じ 3 年として,南海トラフ地震で発生する災害廃棄物の処理方法について検討した。具体的には,廃棄物処理の最終段階で必要となる可燃性廃棄物を処理する仮設焼却炉の必要数 (300 ton/日) を試算した。また,仮設焼却炉数を減らすことが「処理の迅速化」に繋がると考え,災害廃棄物の広域処理体制の構築,事前の体制整備による処理の早期開始,およびセメントキルンの積極的利用等,いくつかの方策による削減数も試算した。さらに,「処理の迅速化」を促進するため,大型船舶上での処理 (船上処理) 案を提示し,その得失について検討した。
廃棄物アーカイブシリーズ/『ゴミ戦争』の記録
平成26年度廃棄物資源循環学会第3回講演会報告
支部特集/支部だより
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