廃棄物資源循環学会誌
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特集:観光とごみ
富士山のごみとトイレ
――世界遺産登録までの取り組みとその後――
青木 直子
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2015 年 26 巻 3 号 p. 207-214

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抄録

東京から車で 2 時間,五合目まで簡単にアクセスでき,登山初心者でも日本最高峰に立つことができる富士山は,年間,頂上へは 30 万人が登り,300 万人が五合目を訪れ,山麓の観光地へは 3,000 万人がやってくる。
 1990 年代初め,富士山を世界自然遺産にしようと大きな運動が起きた。全国的な関心が高まるなか,皮肉にも,ごみとトイレのひどい現状が周知される結果となった。とくに,1990 年代は山麓の不法投棄ごみが深刻な問題となっており,これらの環境問題を解決しようと結成されたのが富士山クラブである。2000~2002 年のトイレ改善の取り組みに加え,富士山のごみをボランティアとともに 16 年間拾い続けている。
 世界文化遺産になった富士山では,外国人観光客が年間を通じて増加している。「ごみは持ち帰り」等の日本のマナーやルールは,登山者でない観光客の外国人には理解しがたい。異なった文化や習慣を持つ人々が訪れる,世界有数の観光地である富士山での環境保全はどうあるべきかを考える。

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© 2015 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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