抄録
管理型最終処分場を例とした埋立地の安全と安心は,本稿で以下のように整理された。
(1) 埋立地の安全の絶対条件は,廃棄物と保有水を場外へ流出させないことと浸出水を排水基準に合致させたのち放流することである。
(2) 埋立地の安全は科学的指標とリスク管理から定義されるべきである。前者は「一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令」(以下,基準省令) の 3 つの基準が基本となっており,後者は環境アセスメントが基本である。
(3) 埋立地の安心は法制度と事業者への信頼が基本である。事業者への信頼は事業者の遵法性と財務基盤の確かさに基づく。前者は法制度に従った維持管理の実行と,廃止まで事業に責任をもつことである。後者は (利益 ≫ 収益 − 費用) を見通した事業展開をすることである。
(4) 今後の課題は,埋立地の安定化に要する期間の予測手法と判定化の手法を明確にすることである。