2017 年 28 巻 1 号 p. 45-52
2006 年に近畿大学・井田らにより考案されたバイオコークス (BIC) について,その基本特性,製造装置,実証試験・事業のこれまでの取り組み,今後の展開等,その概要を解説した。BIC は,石炭コークス代替を目的に開発されたバイオ固体燃料であり,高密度,高圧縮強度,長時間緩慢燃焼,長期安定貯蔵性,高質量収率・高エネルギー収率等の機能・特性を有する。2008 年以降に実施されてきた BIC 関連事業により,製造装置については,2012 年にバッチ式から連続式製造方法に改良されたことで,生産性の向上,省エネルギー性が高められてきた。また,用途開発については,実機のキュポラ炉や高温ガス化直接溶融炉での石炭コークス代替の実証,農業用施設での加温の実証試験が行われ,幅広い用途での利活用実績が蓄積されてきている。今後は,BIC 機能の改質により,石炭コークス代替率のさらなる向上と国内外での幅広い展開が期待される。