抄録
廃棄物・リサイクル政策のうえで重要な概念として世界的に用いられてきた拡大生産者責任 (EPR) には多様な考え方があり,意見対立が生じやすい。本稿では,多様な認識がもたらす政策対話上の混乱について整理を行ったうえで,EPR の目的・論拠・適用範囲の認識に違いがあること,EPR 導入の野心度と想定する政策アプローチによって制度設計が異なること等の多様な認識の現状を説明した。今後の政策対話においては,①「EPR」という用語使用,②対策実施に対する建設的雰囲気の醸成と制度モニタリング,③論点の明確化,④政策目的と効果に基づく各主体の対応範囲の設定に留意することが望まれる。最後に,OECD が推奨する EPR の対象品目拡大の議論のため,今後検討すべき品目として太陽光パネル,電池,船舶,処理困難物と有害廃棄物,紙おむつの 5 品目を例にあげ,それぞれの製品特性等をふまえた制度設計上の留意点を論考した。