抄録
残留性有機汚染物質 (POPs) に関するストックホルム条約において,附属書 C の非意図的生成物を最小化する技術や管理体制を議論する際に,「利用可能な最良の技術 (BAT) 」 および 「環境のための最良の慣行 (BEP) 」 という概念を用いる。用語の定義,非意図的生成物の排出源,排出制限値,生成因子,排ガス制御装置,および BAT/BEP の適用等に関する 「BAT ガイドラインおよび BEP 暫定ガイダンス」 に基づき,各締約国の技術的・経済的・地域的な特性を考慮した上で,非意図的生成物の最小化に向けた取り組みが進められている。日本では,法制度の整備,制御技術の導入,また有機顔料中の副生 PCB への対応等がなされてきた。近年では,非意図的生成物の対象は附属書 A (廃絶) や附属書 B (制限) の POPs にまで拡張し,BAT/BEP の適用が議論されている。廃電気・電子製品の野焼き等の新たな排出源や,附属書 A の新規 POPs の熱分解に伴う非意図的生成といった諸課題への広がりもみせている。