抄録
廃棄物から安定してエネルギーを回収し,地域の施設で熱や電気として利用することができれば,低炭素化効果と事業性を両立させる新たな廃棄物の処理・エネルギー回収事業への展開が考えられる。本稿では,大容量の熱需要がある施設の隣接地に廃棄物処理施設 (未活用エネルギー熱電併給施設) を設置し,エネルギー利用されていない廃プラスチックを中心とした可燃性未活用廃棄物の広域回収と,回収量と質の調整を図るシステムを導入して熱と電力を安定供給する地域低炭素化モデル事業を構築し,低炭素化と事業性を評価した。その結果,地域にエネルギーと経済の好循環をもたらす事業となる可能性が示唆されたので紹介する。特に,化学工場等においては,24 時間 365 日いずれかの生産工程が稼働していることから,廃棄物焼却施設から供給する熱・電力とのベストマッチが期待できる。