抄録
再生可能エネルギー発電分野が世界的に拡大を続ける中,わが国においても低炭素社会の形成や国産エネルギー資源の拡大等を目的に導入され,特に 2012 年 7 月の FIT 制度導入以降は太陽光発電を中心に再生可能エネルギー導入が飛躍的に拡大してきた。これまで導入されてきた太陽電池モジュールのうち,既に一部が使用済みとなって排出されはじめており,今後その排出量は加速度的に増加し,2030 年代後半には年間で約 50 ~ 80 万 ton が排出される見通しである。排出量の増加が想定される中,使用済み太陽電池モジュールの適正処分や,リユース・リサイクルによる廃棄物の減量化等の体制構築が早期に求められる。本稿では,欧州における廃棄物処理の法制度を踏まえた上で,同法に準拠した処理業者の一つである PV CYCLE が手掛ける使用済み太陽電池モジュールの回収・リサイクル・適正処分について,ドイツ・フランスの事例を紹介する。