2020 年 31 巻 1 号 p. 10-15
日本の循環産業が国際市場において,「日本の環境物品の技術力は高いが,運営・管理を含むトータルマネジメント事業が必要な国際展開は出遅れている」という通説を環境物品・環境サービス貿易の視点で入手可能なデータから日本の循環産業の国際競争力について分析した。この結果,国別の特許数において中国はどの技術においても逓増していることと,国際出願では 2018 年時点で固体廃棄物の処理と廃棄物の焼却炉において日本企業は高いシェアを獲得していることが判明した。関連する環境物品の貿易においては,中国は焼却炉・破砕機の双方において輸出競争力を獲得してきており,日本は相対的に輸出競争力を失ってきている。アジア諸国の廃棄物処理サービス企業の所有者が判明している外資系企業では,日本が最も多くアジア諸国の廃棄物処理サービス企業へ出資していることが示された。