日本小児アレルギー学会誌
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原著
ネブライザーの機種によるクロモグリク酸ナトリウム血漿中濃度の比較-続報:小児を対象として-
藤高 道子川口 浩史加藤 恭博佐倉 伸夫
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2008 年 22 巻 1 号 p. 129-134

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抄録
気管支喘息小児16名を対象として,超音波式(NE-U07;n=14)と加圧式(ジェット式)(ボヤージ; n=7)ネブライザーについて,クロモグリク酸ナトリウム(disodium cromoglycate;DSCG)の吸入後の血漿中濃度を比較し,両機種における DSCG の肺内到達量の差を検討した.吸入5分後,30分後の DSCG 血漿中濃度と AUC0-30の平均値(NE-U07対ボヤージ)は各々,7.47対3.17ng/ml,6.00対2.50ng/mlと187.09対78.81min・ng/mlで,何れもNE-U07がボヤージよりも有意に高く(順にp=0.03,p=0.002,p=0.001),既報の健康成人における検討と同様の傾向が得られた.我々が以前報告したDSCGの有効濃度である吸入5分後の血漿中濃度4ng/ml以上が得られた例数の割合は,NE-U07(86%)がボヤージ(29%)よりも高く,健康成人(NE-U07;100%,ボヤージ;17%)と同様の傾向で,かつ,吸入器の機種と有効濃度の間に有意な関連性が認められた(p=0.05).DSCG に関しては喘息小児も健康成人と同様に,超音波式ネブライザーの方が薬剤の肺内到達量が多く得られる可能性が高いと推察された.
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© 2008 日本小児アレルギー学会
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