廃棄物資源循環学会誌
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特集:アスベスト問題の現状と課題
法学者からみたアスベスト問題
――大気汚染防止法2020年改正を中心に――
大塚 直
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2020 年 31 巻 5 号 p. 374-384

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抄録
解体等工事における石綿飛散防止に関する大気汚染防止法 2020 年改正の特徴は,①すべての建材を規制対象にしたこと,②解体等工事前の石綿使用の有無の調査について,元請業者にその結果を都道府県に報告し,調査記録を作成・保存することを義務付けたこと,③石綿含有建材の除去作業完了時に,元請業者が発注者に報告し,また,作業に関する記録を作成・保存するよう義務付けたこと,④短期の解体工事が多く,作業基準違反に対して基準遵守適合命令を出すのは極めて困難なことから,一定の作業基準違反行為に対して直罰を創設したこと,にある。
 隔離場所周辺での大気濃度測定の義務付けについては,測定結果が出るまでに 5 ~ 7 日かかること,石綿繊維濃度測定に使用される走査型電子顕微鏡が十分普及しておらず,総繊維数濃度を用いるのは合理的とはいいがたいこと,測定の結果基準を超えた場合の扱いが不明であることなどから,導入できず,残された課題とされた。
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© 2020 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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