廃棄物資源循環学会誌
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特集:廃棄物の肥料利用
農業系廃棄物肥料化の課題と展望
藤原 俊六郎
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2021 年 32 巻 6 号 p. 419-426

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抄録
農業においては 1 年間に,家畜排せつ物 525 万 ton,農作物非食用部 498 万 ton の有機性廃棄物が発生する。農業系廃棄物を農業利用する方法には,①直接すき込み,②堆肥化,③炭化,④メタン発酵後の消化液利用等がある。家畜ふん尿やわら類では堆肥化,野菜くずでは畑に直接すき込みが多い。堆肥化技術は広く普及しているが,原料や製造法により成分が大きく異なる欠点がある。肥料化の方法は乾燥が主体であり,鶏ふん等原料が限られる。炭化は原料が限定されるとともに,用途も限定される。メタン発酵は,高水分の資材が利用でき,エネルギー回収と液肥の生産が可能というメリットはあるが,大規模施設が必要となる。これからの農業系廃棄物の肥料化のためには,堆肥と化学肥料を混合して肥料とするなど新しい事業やバイオガス化の普及等の他に,水熱分解による液肥化等の新しい手法の導入も必要である。
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© 2021 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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