廃棄物資源循環学会誌
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特集:資源循環と脱炭素
2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けた廃油対策
佐藤 祐樹池田 寿文植田 洋行 川西 理史大山 晟弥
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2022 年 33 巻 1 号 p. 62-69

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抄録
廃溶剤・廃潤滑油・廃食用油等からなる産業廃棄物の廃油は年間 300 万 ton ほど排出されており (2018 年度),うち約 42 % が燃料に再生され,残りは焼却処理されている。石油を起源とする廃油由来の CO2 排出量は約 980 万ton CO2 であり (2018 年度),廃棄物分野の温室効果ガス排出量の約 25 % を占める。このことから,2050 年カーボンニュートラル社会の実現に向け,廃油に対する CO2 排出削減対策の検討優先度は相当に高いといえる。燃料に再生された廃油は代替した重油・軽油相当分の CO2 排出削減に貢献しているものの,一方で大半の溶剤・潤滑油は石油を原料に製造されており,カーボンニュートラル化の観点から,再生燃料としての利用分を含む廃油全体からの CO2 排出量を削減する対策を抜本的に考えていく必要がある。
 本稿では廃溶剤・廃潤滑油それぞれのリサイクルの現状を整理するとともに,今後の廃油全体のカーボンニュートラル化に向けた対策の展望を整理する。
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© 2022 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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