廃棄物資源循環学会誌
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特集:リチウムイオン電池の資源性と将来展望
リチウムイオン電池の循環・廃棄過程における火災等の発生と課題
寺園 淳
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2022 年 33 巻 3 号 p. 214-228

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抄録

近年,リチウムイオン電池は多くの電気製品や自動車に使われており,日常生活に欠かせないものとなっている。一方で,粗大ごみ・不燃ごみを処理する一般廃棄物処理施設やリサイクル施設での火災等が増加している。リチウムイオン電池は資源有効利用促進法に基づく自主回収の対象ではあるが,対象外の品目,電池一体型製品,回収率の目標がないことなど,多くの課題がある。リチウムイオン電池のマテリアルフローに関しては,年間排出量約 1.6 万 ton (2019 年) とする環境省推計がある一方,排出先の情報が限られており,処理施設に混入する量の推計精度を向上させる必要がある。火災等の発生を背景として,環境省は排出状況や自治体の先進事例を調査して 「リチウム蓄電池等処理困難物対策集」 をとりまとめ,経済産業省でも資源有効利用促進法の在り方に関する検討を行なってきた。今後の課題として,安全確保を考慮した回収の責務と意義の見直しの必要性を論じた。

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© 2022 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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