抄録
紙おむつは 「育児と介護の必需品」 とされている一方で,使用後は多量の水分を含んでいるにもかかわらず,ほとんどの自治体で焼却処理がなされており,二酸化炭素排出量からも環境負荷の大きい処理方法となっている可能性がある。これに代わる処理方法として,使用後の紙おむつから吸水部分 (吸水紙,綿状パルプ,高吸水性樹脂からなる) のみを分離して水洗トイレに流し,残りの水分を含まない紙おむつ本体を焼却する方法が考えられる。これを実現するためには高吸水性樹脂に生分解性を付与する必要がある。このような背景から,本稿では生分解性を有する高吸水性樹脂の研究開発状況を概説する。これまでにポリアミノ酸系や多糖類系で多くの研究例があり,それぞれの具体例を紹介する。