廃棄物資源循環学会誌
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特集:最終処分にむけた減容化・安定化体化技術と最終処分構造
イオンクロマトグラフィーによる飛灰水洗液中の放射性セシウム除去と使用済みセシウム吸着剤の安定化
市川 恒樹 山田 一夫
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2022 年 33 巻 6 号 p. 456-466

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抄録
中間貯蔵施設に集積された膨大な量の放射性セシウム (Cs) 汚染廃棄物等を数千分の 1~数万分の 1 に圧縮して最終放射性廃棄物とする超減容化プロセスは,① 放射性 Cs 汚染廃棄物を熱処理して Cs を発生飛灰側に移すことにより廃棄物から Cs を除去し,② 生じた Cs 濃縮飛灰を水洗して Cs を水洗液側に移し,③ フェロシアン化遷移金属を Cs 吸着剤とするイオンクロマトグラフィーによって Cs を水洗液から吸着剤側に移し,④ 最後に使用済み Cs 濃縮吸着剤を固型化・安定化して最終廃棄体とする,という 4 つの単位プロセスから構成される。ここではイオンクロマトグラフィーによる Cs 除去に関して,① 飛灰水洗液の溶液組成から吸着剤の飽和 Cs 吸着量を算出する方法,② イオン交換体である Cs 吸着剤が Cs イオンを特異吸着するメカニズム,③ Cs 除去用イオンクロマトグラフィーの機能について,イオン交換反応の物理化学に基づいて解説した。また,使用済み Cs 吸着剤を固型化・安定化して最終処分する手法についても,処理・処分シナリオの多面的評価を含めて解説した。
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© 2022 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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