抄録
福島第一原子力発電所事故により発生した大量の除去土壌や焼却灰等を対象として,減容化処理やその結果生じる放射性セシウム (Cs) 濃度の低い土壌等を再生資材として利用する戦略,技術システムの検討が現在進められている。一方で,放射性 Cs 濃度の高い処理副生成物や土壌等を最終処分する施設構造の検討も併せて重要となる。本稿では最終処分施設構造の検討に資する基礎情報を提示する観点から,環境省等で検討されてきた除去土壌等の県外最終処分にむけた戦略,各シナリオにおいて想定される最終処分対象物の量や放射性 Cs 濃度をレビューする。続いて,既存の遮断型最終処分場や浅地中ピット処分における封じ込め・漏洩防止の考え方や安全性評価の概要を示し,最終処分施設構造の検討にむけた今後の技術的課題を示す。