大洋州島嶼国は国土が狭く国内市場も小さいことから,リサイクルや廃棄物処理について解決が難しい多くの課題を抱えている。また,海に囲まれた島々は熱帯域のプレート境界周辺に位置することから多くの自然災害にさらされ,社会基盤の脆弱性も高く,災害リスクが高い国々である。このため災害により発生したがれきや廃棄物の処理には一層の困難がある。(独)国際協力機構(JICA) は2000年から,大洋州島嶼国を対象とした廃棄物管理を担う人材育成の技術協力を継続的に行なってきた。地域国際機関と連携し,島嶼国同士が互いの経験や成功例を学びあうという特徴のある取り組みは,四半世紀近く行われてきた中で多くの災害にも直面し,小島嶼特有の困難を克服したその経験をも教訓として地域で共有している。本稿では,大洋州地域での災害廃棄物に関する JICA による協力の概要を紹介し,地域が抱える将来に向けた課題を論じる。