廃棄物資源循環学会誌
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特集:高含水率有機系廃棄物処理の最新技術と挑戦
有機性廃棄物の発生と利用そして評価方法―窒素を中心として―
三島 慎一郎
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2024 年 35 巻 2 号 p. 121-128

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抄録

食料自給率低下と食料輸入の増加による日本への窒素流入の増加は,国内の環境に影響を与えうる。よって,畜産,食品産業と食生活からの有機性廃棄物の排出と成分の資源量をとらえ,国内で地理的な偏りが生じているかを明らかにしていく必要がある。有機性廃棄物をすべて堆肥化した場合,国内には3.3~6.5 Tg 窒素が供給可能であり,3.7 Tg 窒素の化学肥料需要に匹敵するかそれ以上が存在する。これを利用するには,窒素以外の肥料成分に関しても考慮して利用する必要がある。また,国内で不均一に発生することも考慮する必要がある。こうした肥料成分利用の評価法としては,肥料成分の投入と収穫の差である収支,数理モデルによる窒素溶脱の推測といったものがある。有機農業は有機性廃棄物を使う一つの方向であるが,過大な期待をせず,地域にあるさまざまな肥料資源の量的把握から展開を考える必要がある。

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