2024 年 35 巻 5 号 p. 311-317
現在,バイオマスからのプラスチック製造のほとんどは,抽出した油脂成分や糖成分をそのまま利用するか,構成する糖成分を単糖類に分解し,モノマーに変換し,重合してプラスチックを得ている。前者の場合,食料との競合になることが多く,後者の場合,変換プロセスは経済的にもエネルギー的にも非効率である。そこで本研究では,バイオマスの組織構造や分子量に応じたカスケード利用を可能にする技術開発を目指す。すなわち,未利用バイオマスを酵素等で変換する際に,酵素処理の程度によって繊維として残りやすい部分,化学的に分解しにくい成分は多糖類やオリゴ糖として,分解されやすい部分は単糖類として利用する「バイオマスフラクショネーション技術」の開発を目指している。