日本の浄化槽システムは,優れた分散型汚水処理施設として世界的にも認められるようになり,ここ10年間に海外での浄化槽の設置基数が急速に増え,開発途上国だけでなく先進国においても普及が進んでいる。その背景には,近年,開発途上国では経済発展に伴い都市化と人口増加が進む一方,大規模な下水道施設の整備が進まず,分散型汚水処理施設に対する需要が高まっていること,加えて,これまで日本政府,浄化槽メーカーおよび関連企業が浄化槽システムの海外展開に積極的に取り組んできたことがあげられる。同時に,浄化槽システムの海外展開が進むにつれ,分散型汚水処理の国際標準化も重要な課題となっており,日本における浄化槽システムの知見を国際規格に反映させる取り組みが行われてきている。