MEDCHEM NEWS
Online ISSN : 2432-8626
Print ISSN : 2432-8618
ISSN-L : 2432-8618
平成29年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
経口AMPA受容体非競合的阻害剤ペランパネル水和物の創製
長戸 哲花田 敬久上野 貢嗣川野 弘毅乗嶺 吉彦
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 28 巻 2 号 p. 77-82

詳細
抄録

グルタミン酸神経伝達の異常は、てんかんやその他多くの精神神経疾患発症の1つの要因と考えられており、その阻害剤に関した数多くの研究がなされてきた。筆者らは、脳血管障害治療剤としてイオンチャネル型のAMPAタイプに着目し、プロジェクトを開始した。AMPA誘発神経細胞死とin vitro AMPA誘発[Ca2+]流入試験を指標としたHTSを実施し、ユニークなoxadiazinone誘導体を見出した。ターゲットを慢性疾患(経口投与)に変更し、大胆な構造展開を行い、2,4,6-triarylpyridazinone誘導体を経て、強力な非競合的阻害作用と経口有効性を併せもつ1,3,5-triarylpyridone誘導体を見出した。ピリドン骨格の最適化から得られたペランパネル水和物(フィコンパ®)を開発候補品として選択し、2001年より臨床試験を開始し、現在、12歳以上のてんかん患者様の部分発作(併用)について55ヵ国以上、全般てんかん患者様の強直間代発作(併用)について45ヵ国以上で承認を取得しており、米国においては部分発作についての単剤適応も認められている。

著者関連情報
© 2018 公益社団法人 日本薬学会
前の記事 次の記事
feedback
Top