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2019年度 日本薬学会 医薬化学部会賞 受賞
次世代ADC薬Trastuzumab deruxtecan(DS-8201a)創製
中田 隆内藤 博之森田 浩司益田 剛扇谷 祐輔
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2020 年 30 巻 2 号 p. 71-77

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抄録

抗体薬物複合体(ADC)は創薬標的となる抗原に対して特異的に結合する抗体を運搬役とし、薬物がもつ最大の薬効を発揮するバイオ医薬品である。筆者らが創製したトラスツズマブデルクステカン(T-DXd, DS-8201a)は、DNAトポイソメラーゼⅠ阻害剤であるカンプトテシン誘導体を腫瘍細胞内で切断可能なリンカーを介して抗HER2抗体に結合している。その主な特徴は、1つの抗体あたりの薬物結合比が高く均一性が高いこと、バイスタンダー効果によるヘテロな腫瘍への強力な薬効を有すること、そして循環中に安定であることから安全性の懸念が少ないことがあげられ、HER2発現ヒトがん細胞株の異種間移植マウスモデルに対して強力な抗腫瘍効果を示した。現在、HER2陽性乳がん、HER2低発現乳がん、HER2陽性胃がん、その他のがん腫に対する第2相、第3相の臨床試験を実施中である。

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© 2020 公益社団法人 日本薬学会
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