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特集:難病疾患治療に取り組む低分子創薬の新展開
“Undruggable”創薬標的分子を“Druggable”に変えるタンパク質分解誘導薬の新動向
上原 泰介大和 隆志
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2021 年 31 巻 1 号 p. 36-40

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抄録

低分子有機化合物によって特定のタンパク質を分解誘導するケミカルノックダウンが新たな創薬モダリティーとして注目されている。このタンパク質分解誘導薬は、選択的な標的タンパク質の分解によってその機能を阻害するという点で、既存の酵素阻害剤や受容体拮抗薬とは分子レベルの作用機序が大きく異なる。すでに実臨床でがん治療に用いられているレナリドミドやフルベストラントもタンパク質分解誘導薬であり、単なる酵素阻害作用や受容体拮抗作用とは異なる新たな薬理作用が示唆されている。したがって、タンパク質分解誘導薬は、創薬研究における標的タンパク質の拡張が可能となる新規モダリティーとして期待されている。本稿では、近年急速に発展しつつあるタンパク質分解誘導薬の技術的展開、課題ならびに今後の展望を概説する。

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