2023 年 33 巻 3 号 p. 112-116
NAD+サルベージ経路の律速段階に関与する酵素であるNAMPTを活性化し、複数のエネルギー生産経路に関わっているNAD+量を増加させることは、肥満などの代謝異常疾患に対して有望な治療になると考えられる。そこで筆者らは新規抗肥満薬を指向し、NAMPT活性化剤の創薬研究を行った。HTSヒットからin vitro活性、ADMEプロファイル、CYP DIなどを指標に誘導体展開を行い、良好な活性とPKプロファイルを有するDS68702229を創製した。本化合物はDIOマウスへの経口投与により、組織内NAD+増加作用と抗肥満作用を示した。一方、本化合物はsix-well Ames試験において陽性であったため、Ames陰性化を指向した展開を行い、standard Ames陰性であるNAMPT活性化剤11を見出した。