2022 年 53 巻 1 号 p. 65-69
背景と目的 : 医学部留学生の数が増え, 日本語力を養成するプログラムの開発が急がれるが, 医学部留学生の臨床場面でのコミュニケーション上の問題は明らかでない. 方法 : 留学生10名に半構造化インタビューとアンケートを実施し, 臨床実習中に感じたコミュニケーション上の困難点を抽出した. 結果 : 患者とのやり取りでは, 高齢者音声の聞き取りの難しさ, 方言の難しさ, オノマトペの難しさなどが, 医療従事者とのやり取りでは, 隠語がわからないこと, 専門用語を使って簡潔に話すことの難しさなどが上位に挙がった. 考察 : インプット面の課題が大きい. 教育機関において, 多様な話者の音声の聴取, 頻度の高いオノマトペの学習などが必要である.