2022 年 53 巻 3 号 p. 221-227
医師国家試験へのコンピュータ試験 (CBT) 導入に際しては, コンピュータの特性を活かし, 試験と実臨床とで提示される視聴覚情報の異質さを埋めるため, 動画・音声付問題を導入することが望ましい. そのためには適切な動画・音声素材を収集するとともに, その素材を活かした臨床問題を作るノウハウの確立と人材育成とが必要である. 筆者らは12年間にわたり動画・音声付CBT問題の開発に携わり, 厚労科研事業河北班研究では, 医師国家試験CBTトライアルの中で動画・音声付問題を実際に出題し, さらに作問マニュアルや作問ワークショップなどを準備している. 本稿ではこれらの経験に基づいて, 医師国家試験CBT化のメリットと課題とを考察する.