2022 年 53 巻 4 号 p. 361-367
医師は, 苦悩する患者の話を傾聴し, 応答することを求められている. しかし, 他者である患者の苦悩にどのように応答したらよいのであろうか. 緩和ケアの対象が広がり, 「Serious Illness」を持つ患者に対して, 治癒の有無にかかわらず緩和ケアを提供することが強調されるようになった. がん以外にも, 心不全, 呼吸不全, 脳血管障害などの患者の苦悩に向き合うことになったが, その治療医は苦悩への向き合い方も, 苦悩への応答の方法も, 手探りの状況である. Whole Person Careはマインドフルネスを通じて, 自分自身を調えていくことにより, 苦悩する患者と向き合うことが可能になるための体系的な教育プログラムである. 本稿では, 「患者の苦悩への応答」の概要を説明する.