医学教育
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53 巻, 4 号
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特集 苦悩する患者と向き合うための医療者教育はどう実現するか?
  • 土屋 静馬, 恒藤 暁, 三好 智子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 53 巻 4 号 p. 329-335
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/12/18
    ジャーナル フリー

     マギル大学医学部ではカリキュラム開発の長い歴史のなかで, 患者の心身の健康の向上のための医療を実践する医師を育成することを軸としながら, 常に時代に合わせた効果的な教育の検討がなされてきた. 現行のカリキュラムMDCM2013では, 医師としての2つの役割としてProfessional (専門家) とHealer (癒し人) を挙げ, 各々に具体的なカリキュラムが開発されている. これらの "質の高い患者ケアを実践する医師の育成" に関わるカリキュラム開発の概念的な枠組み, 教育方法, 評価は, わが国でも同様に具体的なカリキュラムの開発や実践に関する議論が進むことが期待される.

  • ―マインドフルネスを活用した医療者教育の世界の潮流―
    土屋 静馬, 恒藤 暁, 三好 智子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 53 巻 4 号 p. 337-343
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/12/18
    ジャーナル フリー

     マインドフルネスとは「今, この瞬間の体験に意図的に注意を向け, 評価をせずにとらわれのない状態でただ見ること」と定義される. このマインドフルネスを活かした医療者教育の目的は, 実は2つある. 1つ目は, 一般にも知られているように, ストレスマネジメント, セルフケアを通じてプロフェッショナルな医療者としての自己を支えることである. そして2つ目は, 患者ケアの質の向上に役立てることである. 本稿では, 特に後者のマインドフルネスを活かした「患者ケアの質の向上」について, 世界の医療者教育の潮流に触れながら, わが国のマインドフルネスを活かした医療者教育の方向性を探っていく.

  • 恒藤 暁, 土屋 静馬, 三好 智子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 53 巻 4 号 p. 345-351
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/12/18
    ジャーナル フリー

     マギル大学でのWhole Person Care教育では, 癒しを促進する全人 (whole person) として関わり, より良い医療を患者に提供できる有能かつ思いやりに溢れる医師を育成することを目的としている. その教育は全4年間のカリキュラムにおいて段階的に行われている. 授業, 小グループ (20人) による体験学修, シミュレーション教育, パネル討論会などが実施されている. 様々な演習やワークを通して双方向性のユニークな体験学修を促進しており, 変容的学修を目指している. 今この瞬間の現実 (自分, 相手, 状況) に気づきを向けながら, 自分自身のあり方を見直し, 全人として存在する態度を身につけることが肝要である.

  • 恒藤 暁, 土屋 静馬, 三好 智子
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 53 巻 4 号 p. 353-360
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/12/18
    ジャーナル フリー

     マギル大学のWhole Person Care教育は, コア・カリキュラムとして実践されている. その中核である「マインドフルネスにある臨床実践コース」では, 学生が「何も知らない」状態から「知っている」状態へ, そして「実感する」体験を提供し, それを「実践する」優れた医師を育成することを目標にしている. このコースにおいてコア・コンセプトであるマインドフルネスにある深い気づきと臨床的調和を概説した. その教育は様々な演習やワークを通して学生が体験学修できるように構成されている. 日々の生活で身体感覚, 思考, 感情に気づきを深め, コミュニケーションの態度を自覚しながら, 学生がWhole Person Careを実践できるように取り組まれている.

  • 三好 智子, 恒藤 暁, 土屋 静馬
    原稿種別: 研究論文
    2022 年 53 巻 4 号 p. 361-367
    発行日: 2022/08/25
    公開日: 2022/12/18
    ジャーナル フリー

     医師は, 苦悩する患者の話を傾聴し, 応答することを求められている. しかし, 他者である患者の苦悩にどのように応答したらよいのであろうか.  緩和ケアの対象が広がり, 「Serious Illness」を持つ患者に対して, 治癒の有無にかかわらず緩和ケアを提供することが強調されるようになった. がん以外にも, 心不全, 呼吸不全, 脳血管障害などの患者の苦悩に向き合うことになったが, その治療医は苦悩への向き合い方も, 苦悩への応答の方法も, 手探りの状況である. Whole Person Careはマインドフルネスを通じて, 自分自身を調えていくことにより, 苦悩する患者と向き合うことが可能になるための体系的な教育プログラムである. 本稿では, 「患者の苦悩への応答」の概要を説明する.

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実践報告―新たな試み―
部会報告 : 第21期プロフェッショナリズム部会 プロフェッショナリズム教育方略 連載第16回
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