2003 年 34 巻 1 号 p. 49-55
われわれは, 特別な装置を必要とせずパーソナルコンピュータのみで動作する, 問題指向型システムによる診断手順シミュレーションシステムを開発した.本システムでは, 実際の診察場面に近似したかたちで, 学習者の指示に従って音声で病歴が提示され, 視覚的あるいは聴覚的に身体所見が示される.また, 検査所見も学習者の要望により得ることができる.学習者は自分自身で収集した情報からデータベースをまとめ上げ, プロブレムリストを作成し, 患者さんにとって最も重要なプロブレムについて初期診断計画を作り上げる.本システムは, 時間や場所, 予算の制約なしに, 仮想のマルチメディア環境下で問題指向型システムに従って診断のプロセスを学べることから, 臨床実習前の医学生にとって有用であると思われる.