医学教育
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グルーブワークを中心とした医学科・保健学科合同新入生ゼミナールの実施
櫻井 晃洋木村 貞治福嶋 義光多田 剛相澤 徹
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2007 年 38 巻 1 号 p. 23-28

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抄録

近年の医療ではチーム医療の重要性がこれまで以上に認識されているが, 医学教育の枠組みの中で専攻の異なる学生が一緒に学ぶ機会はほとんどない.そこで医学部内の学科間, 専攻間の垣根を取り払って新入生をグループ分けし, テュートリアルに準じた形で自学自習やグループ討論を行う新入生ゼミナールを実施した.
1) 信州大学医学部医学科および保健学科の1年生 (約240名) を20のグループに分けて, グループワークと合同講義を行った.各グループはすべての専攻科の学生が加わるように編成した.
2) 医療とコミュニケーションに関する資料を提示し, それをもとにグループごとにテーマ (キーワード) を決めて調査, 討論をし, 学んだ内容と考察を全体討論会で発表させた.
3) 実習終了後の学生に対するアンケート調査では合同演習により他専攻の学生と交流できたことを高く評価していた一方で, 演習時間の少なさやグループの人数の多さに対する不満がみられた.
4) 教員に対するアンケート調査では, 実習内容は適切であるもののグループの学生数の多さが問題点としてあげられた.また教員数の確保, 演習室の確保, 教員の意思統一の点で課題が残った.
5) 本演習は他職種の業務を知り, 医療におけるコミュニケーションの重要さを理解する方法として有用であった.一方で自学自習の習慣を身につけるという目標到達には改善の余地が残された.

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