人間・環境学会誌
Online ISSN : 2432-0366
Print ISSN : 1341-500X
特集:人間・環境学会設立10周年記念シンポジウム報告
スペーシングを規定する要因について
小西 啓史
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1993 年 1 巻 2 号 p. 13-20

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抄録
スペーシングを規定する要因は何であろうか。この論文では、パーソナル・スペースとクラウディングの2つを取り上げ、この問題について考えてみることにする。パーソナル・スペースは異方的構造をもっている。これを規定する要因は、"視覚的接触の様式"と"知覚された脅威"であると考えられる。特に、知覚された脅威は重要な要因である。われわれは、他者の存在を自尊感情への脅威と認知したとき大きな対人距離をとる。それによって、自己を防衛しようとする。クラウディングを規定する要因としては、過剰な刺激や行動の拘束などをあげることができる。さらに、個人の経験も重要である。われわれは、自分の経験にもとついて、これから起こる事態を予期するからである。これらの知見を環境形成に生かすには、社会的空間図式を明らかにする必要があるだろう。パーソナル・スペースは個人のもつ図式に従った行動であり、クラウディングは現実の行動と図式の間にズレがあるときに生じると考えられるからである。
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© 1993 人間・環境学会
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