2022 年 24 巻 2 号 p. 24-28
昨今,高齢ドライバによる交通事故が世間の注目を浴び,免許返納が促進されている。その一方で運転をやめることによる生き甲斐の減少や要介護リスクの増加などの問題も指摘されている。高齢者のモビリティを支えるため,有効な運転補助手段や環境整備など運転支援に対する知見を得ることが急務である。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」によって蓄積されたデータのうち,本報告では,高齢ドライバが運転したくないと感じる走行環境の質問項目に着目した。24種類の走行環境に対する「見かける程度」と「運転したくない程度」の評価を用いて,潜在ランク理論による分析を行った結果,回答者(55歳~87歳)を5群に分類した。高齢者群の走行環境に対する評価の仕方の差異が見られ,走行環境に対する認識が高齢者群によって異なる様相が明らかとなった。