人間・環境学会誌
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Print ISSN : 1341-500X
インタラクティブなステレオグラム・シミュレーションによる街路景観の評価構造の特性
奥 俊信
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ジャーナル オープンアクセス

1997 年 3 巻 2 号 p. 1-11

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抄録

本研究の目的は、街路景観の連続性に焦点をあて、インタラクティブに操作しうるCGステレオグラム(ステレオグラム・モデル)を適用した場合の評価構造の特性を、CG静止画(パース・モデル)との比較によって検討することである。大都市の業務地域において、建物の高さが揃い秩序だった景観を形成している幹線道路を参考に、CGでモデルを作成し、その沿道建物の中の1つの建物の形態(高さ、間口幅、壁面線位置)を操作して変化させた景観を評価対象とした。評価項目は、「連続性の度合」、「連続性の許容点」、「連続性の限界点」の3項目であり、被験者は21名である。主な実験結果は次のとおりである。ステレオグラム・モデルとパース・モデルの評価構造について、両者に明確な差の見られなかった点は、(1)連続性評価に対する操作対象建物の要素(高さ、壁面線位置、間口幅の変化)の説明力、(2)評価(連続性評価、許容度、限界度)の平均値である。一方、両者の主要な相違点は、(1)ステレオグラム・モデルでは評価傾向の異なる2つのグループに分かれたが、パース・モデルでは全被験者が同傾向の評価を示したこと、(2)連続性評価に対する許容度・限界度のばらつきがステレオグラム・モデルの方が大きかったことである。

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© 1997 人間・環境学会
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